弦の間隔が狭いギターがほしい
ギターを弾くには、手が大きい方が有利、というのが通例です。
ジミヘンを始め、BBキング、スティーヴィー・レイボーン、古くはロバート・ジョンソンまで、手の大きさを生かした有名なギタリストはたくさんいます。
反対に手が小ささを生かしたギタリスト、というのはあまり聞きません。
ネックを握り込んで親指で6弦を押さえるようなスタイルは、手が小さいとマネのしようがありません。
ギターを弾く人の悩みでも「手が小さいこと」は、日本だけでなくアメリカなどでもブログなどを見るとよく出てきます。
そういったニーズを踏まえてか、ギターメーカーは、昔から子供向けの小さなギターを作ってきました。
フェンダーも、子供向けとしてより短いスケール(弦の長さ)のギターを作ってきました。
現在までこうした「小さいギター」はたくさん作られてきましたが、ほとんどは弦の長さとボディサイズをコンパクトにする、ということに留まります。
実際にこれらの弦長の短い「ショートスケール」のギターを弾いてみると、確かに全体のサイズがコンパクトになっているため取り回しが良くて弾いていて楽に感じることがあります。
そして弦の長さが変わることによって音の面では変化が感じられます。
ところがネックの長さは短くなっているものの、弦の間隔は基本的に変わらないため、ネックを握りこんだスタイルが楽になるかというと、実はほとんど変わりません。
なぜ弦の間隔を狭くしたギターを作らない?
ギターを小さくする、ということを考えるなら、弦の長さを短くすると同時に弦の間も狭くしてしかるべきです。
ところが、ごくわずかな例外を除いて、ほとんどはレギュラーのギターを全く同じ弦の間隔になっています。
なぜでしょう?
答えは簡単です。
弦の長さを変えるだけなら、ネックだけ作り変えればすみます。
ところが弦の間隔を変えようとすると、ブリッジ、ピックアップも合わせたものを作る必要が出てきます。
大プロジェクトになってしまうのです。
そこで弦の間隔が8mmのギターを作ってみました
通常ブリッジ側の弦間隔は、フェンダーのストラト.3mmか10.8mm、テレキャスターが10.5mm、ギブソンは10.4mmぐらいです。
販売されているものでは、弦間隔10mmぐらいのものまでなら見たことがあります。
もっと狭いギターを試してみたいを思いました。
「届かなくて困る」のはどうしようもありませんが、「届きすぎて困る」のは工夫の余地があります。
そこで弦の間隔8mmのギターを作って見ました。
通常のギターでいうと、1弦から5弦の間隔に6本の弦が収まっている状態です。
最初は全く別の楽器に感じてしまって、弾きにくいことこの上なし!でした。
ところが慣れてくると快適になりました。しかも無理にネックを握りこむスタイルで弾いていたので手が痛くなることがありましたが、このギターではどれだけ長く弾いていても全く痛みを感じることがなくなりました。
試作品を経た完成品へ
1号、2号の試作品を経て、区切りとして完成形を企画しました。
これまでの試作品はフェンダーのロングスケール(648mm)でしたが、今回はショートスケールとしました。
ようやく本体と、精度の高い製作のためのジグの設計が完成しました。
完成までの道のりを公開しながら進めてていきますので、完成まで是非お付き合いください。